散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

かぐや姫の物語

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「生きるために生まれてきたのに」
死にたいほどに辛いこの地より逃れることを思う。
なのに、悲しみの淵にあって、“いのちの記憶”は生の喜びを物語る。

“過去のすべて”を“未来の希望”と歌うアニメーションが、ここではないどこかの幻を願いながら偽りを生きる万人の罪にしばらくの解放を与える。
喜びも悲しみも、美しさも汚れも無常に巡る“いまのすべて”を肯定する人生賛歌。

映画は一方向に、時間の不可逆性を表現する。抗えない死への悲劇を描く。にも拘らず、照らし出される記憶の欠片は得難い生の実感、その切望なのだ。


☆4.3

(2018/05/30)