世界の認知を改めさせられる衝撃の映画体験。フランスより、ギャスパー・ノエ以来の鬼才現る。トビー・フーパーやデヴィッド・クローネンバーグからの影響を血肉とする若き女性監督。女性自身でなければ描き得ない、少女の思春期における変容を剥き出しの生々しさで綴る。
性へのめざめをカニバリズムによって。
性は生の欲求であり、生きることは食べることであれば、食べるという行為のエロティシズムを無視することはできない。死を内包するその暴力性、グロテスク。または食べられることの痛みを受容する関係には愛をも結ばれる。
愛欲と食欲を満たす機能が一つの器官に同居している嫌らしさに嘔吐しようとも、ヒトはそれをやめられやしない。我が身に湧き立つ得体の知れない野蛮な本能とうまく付き合って生きていかなければならない。その術を身につけるためのイニシエーションでもあるのだ。
汚れに塗れ、生きることの残酷を受け入れる“洗礼”を経て、初めて社会の一員として認められるようになる。
☆4.5
(2018/12/07)