散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ソウ6

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フロムダスクティルドーン。
一日の終わりは夢の始まり。無論、悪夢とて。

人々が寝静まった頃合い、丑三つ時なんて理想的なシチュエーション。静寂と暗闇に包まれた孤独の一室で、なぜにホラーを、死の遊戯を眼前に、恐怖を欲望するのか。

それは生が死に直面する非日常の風景に。起こりうる限りの非現実的な、あるいはつまり虚構にこそ、生の実感を得られる者の性。

「命の価値は」「生きる意志は」などという、白昼には許されない寝言、たわ言が共鳴するところ。
ホラーは人の生死を問うがゆえ、あたかもその深淵に触れているかのような錯覚を保証してくれるもの。

最もアンリアルな、それでいて誰しもが当事者たりえる、空想でありながら身の毛のよだつ恐怖──その真実性を疑うことなく貪り続ける、夜行性の獣たち。


☆3.0