常識を疑え。
権力に抗え。
自分の言葉を持って。
道なき道を行け。
"Power to the people"
"Stick it to the man"
不当で病んだ最低の世の中に、反逆の道を示してくれるはずの“父”はもういなかった。
「いまを生きる」ということの本当の意味を問いかけてくれる、“キャプテン”と呼べる師と出会えたとすれば、それはいつも映画の中のアナキストたち、ロックンロールの体現者たちだった。
"Living"と"LIfe"。
ただ生きていることと、生きようとする人生の違いを。自由のために戦い抜く知恵と力を。優しさと誠実さと気高さを、愛を。
人生の主人公を勝ち取る術を、映画に教えられてきた。
なんとか呼吸していられる。小さな絶望を繰り返す日々で、鬱蒼たる闇の中に一筋の獣道を見つけ出した夜には。涙を拭って、そんな映画を飾るべき、勇ましく美しいあの詩句に思いを馳せて。
Carpe diem.
そして今夜。映画の“父”は「死ぬな」という言葉に「日々、人生最後の日と思え」と託し、はじまりへと向かう僕の背中を押してくれるのだ。
☆4.6
(2018/11/20)