散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

禁じられた二人

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僕は君。君は僕。
あなたは私。私は女。

考えることを、夢見ることを、同じ気持ちを、同じ快楽を、感じ合っていたい。
言うなれば、自分を捨ててしまいたい。二人で一つに繋がりたい。
僕と君を隔てるものなら取り除いて、二人だけの秘密を抱えて、世界を二人だけのものにして。二人きりの世界で、ただ愛だけが存在する今を永遠に引き延ばして生きたい。

なのに、ただ愛し合うことが、それだけのことがこんなにも不自由なものか。
求め合っても、通じ合うことはできない欲望なのか。
生活に強いられる距離が、時間が、どうしようもなく愛を追い越していく。

これ以上の悦びや悲しみや、喪失への恐怖に泣き叫ぶような狂熱に身を焦がすことはもう二度とない。
一生に一度の、若かりし無謀な愛ゆえの、忘れられるはずのない、癒えることのない傷が心に刻まれる。

愛の永遠の絶望。
ここに永遠は得られた。


☆4.5

(2018/05/16)