散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ジェラシー

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君を愛している。故にこの人生は美しい。
喜びも苦悩もすべてを愛し愛されたい。君について知らないすべてのことが狂おしい。
その揺るぎない愛は、故に人生を閉塞させていく。
愛の言葉が自由を侵す。

合作のはずの愛の物語は、幻想、作者は悲しくも自分ひとり。彼女は、彼女の筋書きを別にしたためる。
人の数だけ存在する物語。
唯一永遠を誓った物語の終焉は、一つ心臓を止める。舞台を失った役者はひとたび命を絶つ。

非対称な欲望の意訳を「ジェラシー」と。短い映画が短い愛の終わりを再演する。
自殺する代わりに映画を撮り続ける者と、観続ける者。

空疎な部屋で、鍵穴に覗く天使よ。
彼女は“人生に執着せず謳歌する”
「人生の美点は何びとにも生を強要しないこと」


☆3.8

(2017/6/04)