散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

10 クローバーフィールド・レーン

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外界を閉ざされた地下の密室。でっぷり太った得体の知れない男に扉を塞がれ、太陽光を浴びることすら許されない閉鎖空間。
息が詰まる。
誘拐、それから監禁というシチュエーションほど、リアリティをもって暴力的に訴えかけてくる恐怖演出があるだろうか。映画表現との相性の良さもあって、耐え難い臨場感が押し迫る。
気が狂いそうになる。

外道に匿われて生き伸びるも地獄。阿鼻叫喚の宇宙戦争に放り込まれるも地獄。非力な“リトルウーマン”は、何処までも野蛮なこの世界でサバイバルを生き抜く戦士ならざるを得ない。

シェルターなのか、牢獄なのか。
散らばったピースが余すことなく嵌め込まれるように進展する巧みな心理劇で、完成するパズルの全容と指し示すメッセージ。

緊張が一気に解放されるクライマックスと、「クローバーフィールド」の標題が本来の語意で転がり込むエンドが小気味よく、なんとか救われる思いだ。


☆3.8

(2017/6/06)