散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

インディアン・ランナー

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善意なんてものは恐怖の裏返しに過ぎないのかもしれない。
法や倫理への罪の恐れ。あるいは、情けは人の為ならず。保身のための善行で体裁を取り繕う。
善とて所詮、何かの目的のために存在する理性的な働き。
例えば、家族を守るため。愛する人を失うことへの恐れから。

そんな善の積み重なる幸福を壊しさすらうならず者。その暴力は社会に悪と断罪されるもの。
ルールに縛られ、神に縛られ。恐怖に縛られた人間たちの中で、自由への逃走を続ける彼らもまた恐れている。欺瞞と偽善で嘘だらけ、無価値に思えてならないこの世の中と、そんなものに順応してしまいそうになる自分のことを。

“ヒーロー”も“アウトロー”も同じ穴の貉、守るべきものを守るための生。


☆4.2

(2017/12/18)