散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ベッカムに恋して

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意志を曲げずに貫け。自分らしく生きることを、そんな風に表現しがちである。
“BEND IT LIKE BECKHAM”
原題は、ベッカムのように曲げろ。

ベッカムフリーキックは独特だ。大きく腕を回し、身体全体で弧を描くキックモーションは優雅で、ボールは大きな放物線を描いてゴールに吸い込まれる。そのフォームは唯一無二で、シルエットがトレードマークになっていたりもする。
しかしその実は、真横から侵入する助走、その運動エネルギーを急転回させるため目一杯に踏み込まれる軸足。斜めに倒した身体を支えるボディバランスで、ほとんどインサイドキックにも拘わらず放たれるスピードボール。
それは、助走の勢いをそのままに利用できるインステップでのパワーシュートよりも強靭な体幹を必要とするのかもしれない。

90分走り切ることができ、その上で正確無比のキックが可能な体力。ここ一番のチャンスをものにする精神力。
スペシャルであるには、タフでなければならない。
自分だけの道を行く。それは本当にタフなこと。
人と違う生き方をするには。文化や伝統といった“壁”を越えて、その先のゴールを目指すには。ベッカムのように、人とは違う軌道を描くには。


☆3.5

(2017/1/20)