散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-01-22から1日間の記事一覧

イマジン

感覚を研ぎ澄ませて、もっと聞いて、深く探って。“見えた”景色を地図に書き足して。慎重になり過ぎず思い切って。 まだ“見えぬ”世界を上手く生きるコツは、素敵な嘘とハッタリ。 想像して。 “見えている”ものだけが真実の全てじゃないから。 町へ、歩き出し…

わたしはロランス

まるで言語を操るように、表現することを身体感覚の内に体得している人。そういう才能を、“天才”と呼びたい。不得手を装わない限り、天才作家は駄作を作り得ない。 ズバ抜けた画作りの“運動神経”でもって、ハイ・テンションとハイ・エモーションが駆け抜ける…

逢びき

仕事への野心、情熱を饒舌に語る彼。目を輝かせて、少年みたい。予防医学のことなんてちっともわからないけど、ずっと話を聞いていたい。見とれていたい。彼女は恋に落ちてしまった。 また木曜日に。汽笛が鳴るまでの時間に許された、逢びき。彼は愛している…

エンティティー/霊体

どんな心霊体験よりも、虚言者扱いされて孤独感に苛まれることが何より恐怖体験なのかもしれない。信じてくれる仲間ができたなら、そうさ100%勇気。もう戦うしかないさ。 実話を基にすると謳われているが、三人の子を育てるシングルマザーの心労を思えば…

シュガー・ラッシュ

悪役と悪人の区別もつかず邪険に扱う人々。ヒールの概念を持ち得ない無教養。「フィックス・イット・フェリックス」の衆愚世界は現実にある、悪。 ディズニーアニメーション史上最もウザかわいいヒロイン、ヴァネロペちゃん。二度目ましても、涙、涙。 ☆4.0 …

死霊館

『ソウ』の一発屋どころか、『ワイルドスピード』シリーズに抜擢されるほど出世したジェームズ・ワンが、ちょっと合間に拵えたようなホラーの小品。これが巧い。視界の限定という映画の基本と、見える見えないで揺れる心霊映画の勘所を抑えた正攻法な恐怖演…

闇のバイブル 聖少女の詩

原題は『ヴァレリエの不思議な一週間』。 初潮を迎えた少女が彷徨う、白昼夢。抑圧や断罪の暗喩に宣教師や魔女狩りといった記号を配し、おぞましくも魅惑的な吸血鬼伝説をモチーフに表れる、性の目覚め。 ゴシック様式美が引き立つほど、エロスからは離れて…

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション

“共通の利益”の下に集まるプロフェッショナル集団とは違う行動原理が働く、トム・クルーズのスパイ大作戦。第5作。 第4作より新たな主要キャストを迎え、チームは若返りを図った。若き日にはワンマンで任務を遂行してきたイーサン・ハントも部下を従える立場…

WISH I WAS HERE/僕らのいる場所

「子供の頃、ヒーローになりきっていた。世界を守ろうと張り切っていた」 時は流れるように過ぎていく。夢追い人も、気付けば年を重ねている。息子であること、兄であること、夫であること、父であること。“僕らのいる場所”にちゃんと向き合うこと。家族とい…

抱きしめたい

ファンはアーティストの鏡ということで。ビートルズ現象を、熱狂する群衆の側から描くというもの。 奇天烈なシチュエーションに、終始ハイテンションで繰り広げる大騒動。ゼメキスの処女作は、手腕が遺憾なく発揮される題材であった。共同脚本、ボブ・ゲイル…

いつも2人で

病める時も、健やかなる時も、貧しき時も、富める時も、死が二人を分かつまで……添い遂げようと努めるのは、誓った愛の重さからではない。夫婦というものは、何とも手放し難い、奥深い関係だ。 諍いの時も、喜び合う時も、ぴったりの息で軽快なアンサンブルを…

45歳からの恋の幕アケ!!

“情熱的でロマンチック、だからこそ独り…”“本物のロマンチストはいつだって孤独”身に染みる名台詞だ。 まさしく、“僕の物語”。さあ僕らと、芸術への無理解、無教養で支配するアイツらとの闘争の物語……と思いきや、色恋沙汰で内部崩壊を起こすのは世の常。筋…

ユーズド・カー

何百もの中古車が大挙して爆走するクライマックスは壮観。滾るぜ。およそ80年代までのカーアクションって、ボンネットがペラペラ舞ったりバンパーがガランと外れたりと、簡単に破損しちゃう感じがいい。エンジン音や衝突音も乾いた感じで。嘘っぽさが好き。 …

SEX エド チェリー先生の白熱性教育

誤った認識で反論した気になっているヤツらに向かって言い放つ「だから性教育が必要なんだ!」には、強い共感を覚える。まさか童貞顔と罵られる日が来るとは思わなんだハーレイ・ジョエル・オスメント君、渾身の叫びだ。いつの間にか、カバンの斜め掛けがこ…

ヤコペッティの大残酷

世界を横断して人間の野蛮を暴いたヤコペッティ。モキュメンタリーの制約から逃れて描いた最後の監督作品は、中世、近代を縦断するロマンス。 甘美と露悪が共立する、この世はパラダイス。純朴な青年の目には邪悪なこの世界。だが、すべての美醜に善も悪もな…

Mr.タスク

見ながらに、何なんだこれは?何がしたいんだケヴィン・スミス……?と、クエスチョンマークが浮かび続けるばかり。ホラーを期待してると肩透かしを食らうだろうし、かと言って、残酷が笑いに変わるホラーコメディかと言うと、そう痛快な描写もない。うんたら…

世にも怪奇な物語

テレビドラマ『世にも奇妙な物語』は、摩訶不思議な空間に閉じ込められる恐怖、言わばでっちあげの空想の世界を描く印象があるが、本家とも言えるこちら『世にも怪奇な物語』は、人間の深層心理をえぐり出し対峙する奇怪な様を具象化する。場よりも人が先立…