病める時も、健やかなる時も、貧しき時も、富める時も、死が二人を分かつまで……添い遂げようと努めるのは、誓った愛の重さからではない。夫婦というものは、何とも手放し難い、奥深い関係だ。
諍いの時も、喜び合う時も、ぴったりの息で軽快なアンサンブルを奏でる。アトランダムに繋ぎ合わされる思い出の数々と、添えられるノスタルジックな旋律には一片の齟齬もない。
それらは過ぎし日の出来事ではあるが、現在の二人が思い描く回想の調子。いつも二人は、二人だけの波長で、ユーモアで繋がっている。何時を切り取っても、今この時も。
映画には本物としか言い様のない愛が映り込んでしまうことがある。二人の俳優が演じることをやめたときだ。
一時のアバンチュールを、映画は永遠にする。
オードリー・ヘプバーン、知られざるもう一つの最高傑作。
思い出を繰り返すように、何度も観返したい映画。
☆4.4
(2016/04/13)