世界を横断して人間の野蛮を暴いたヤコペッティ。モキュメンタリーの制約から逃れて描いた最後の監督作品は、中世、近代を縦断するロマンス。
甘美と露悪が共立する、この世はパラダイス。
純朴な青年の目には邪悪なこの世界。だが、すべての美醜に善も悪もなく、人間が自らの存在を自問する余地などもなく、森羅万象すべては美しく円環している。
この世は、“あり得べき最善の世界”。
「歩き始めた理由を考えても意味はない」「どこへ向かうかも関係ない」
愛だろ、愛。黙って、愛を生きろ。
☆4.2
(2016/04/10)