散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

the Future ザ・フューチャー

このまま時間が止まってしまえばいい──そう祈ったあの日、あの夜、あの刹那の感触を、今も確かにこの腕に抱えたまま。かれこれどれほどの夜を過ごしただろう、もう数えることもない。遠い日の記憶、でも思い出すまでもなく今に続く。笑い合い、きっと愛し合ったあの頃の、始まりの終わり、そして終わりが始まり、すべてを失ってしまうと悟ったあの夜の闇に、独り僕は動けないままでいる。すでに遥か未来を生きる君を、いつもの退屈な部屋で待ち続けている──なんて嘘をついて。生きるということの、あり得たはずの未来の可能性がただただ閉じていく、どうしようもなく自由がゆえの人生の葛藤から逃れるべく、運命づけられた悲しみに拘泥する大層なロマンチストよ。


☆4.3