静寂の黄昏。人の消えた街に、高層ビルのガラス窓に反射する夕陽が光輝く。
歪んだレンズに覗く、絶望のはずの世界は白昼夢のように美しい。
世界の終わりで偶然出会った善人たち、疑似家族のロードムービーの得も言われぬ浮遊感に身を預ける。
日没に刹那、訪れるマジックアワーのような。それもやがて終わる一時の幻夢とも知らずに。
邪悪の潜む闇夜に向かう。
異常が平時の世界で“未来”を守り抜くため、一度は“父”を殺し損ねる主人公もまた狂暴な“男”に生まれ変わることの定め。
人間としてまた目覚めたいのであれば、無垢は捨て去らねばならぬ。
☆Review
(2018/10/11)