愛を人質に美を搾取する男。
愛を宿す存在としての、女。
美しさこそ真理と定めた芸術家。あるいはそのミューズとの鬩ぎ合いによって織り成される、至上の悦びよ。
徹底された美意識を纏いし、なんと格調高く流麗で、ロマンティック且つスリリングな奇作の、まさに眼福の極み。
“美女”の肉体に重ねられる“亡霊”のシルエット。あるいは安らぎの幻想──世にも幸福な悪夢──然らば、毒をも食らおう。この甘美が永続する薬となるならば。
愛の共作。いつの世も、その手の“ゲーム”は彼女がうわて。
男と女のクラシック。
☆4.3