散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

海は燃えている イタリア最南端の小さな島

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やけに作為的なフッテージの連続や、必要以上に引き延ばされる余白に何か特別に感じることがあったかと言えば難しい。
それは既に知っていることだから。知っていて、見て見ぬふりをしていることだから。
対岸の火事を、ましてやモニター越しに目の当たりにしたところで、今更、波立つ心もないだろう。

知らなかったことと言えば、難民船に乗れたとしても序列はあって、そのせいで命を絶たれる子どもが少なくないという……それも如何にも人間らしい悲劇ではあるが。

あれもこれも知っていることばかり。知っていて見捨ててきた命だ。

国境などという誰が決めたとも知れん線が人々を分断する日常に、愛と生活を断絶して生きる善人たちよ。
カメラを向けるべきはこちら側。見つめるべきはその欺瞞に満ちた平和であろう。


☆2.5

(2018/05/27)