散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

神様メール

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運命と選択肢について、それぞれのロマンティックに優しい眼差しを送り続けるジャコ・ヴァン・ドルマル。彼のユーモアは、ついにその動かざる秩序を根底からひっくり返し、救いの手を差し伸べる。哀しみを包み込むファンタジー、そしてコメディ。

神に謀反を起こすは、いたいけな堕天使が巻き起こすカオス。奇想天外。突き付けられる余命宣告に、人々は人生の意味を問い直す。

“善人であれば全能ではないし、全能であれば善人ではない”傲慢な神に、脅され選ばされる存在理由とは反し、少女は市井の人々に好きに楽しく自由に生きることを誘惑する。
そうして愛という奇跡が万人のものであることを知った孤独な魂は解放され、多様で寛容な人生を歌う「新・新約聖書」の完成を以て、父なる神に退場を促す。

天国なんてない。この人生の、無限の可能性だけがある。


☆4.2

(2017/10/21)