散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

マイ・マザー

f:id:eigaseikatsu:20190210224952p:plain

“母親への愛は無意識であり 親離れの時 初めてその根の深さを知る”

神かブッダかは分からないけれど、僕はその存在を信じている。
親と子の神話を信じている。
だけど、そのファンタジーを望めば望むほど、母は遠くへ、人と人の間に軋轢が、現実が立ちはだかるパラドックス

「愛してる」「私も愛してるわ」
「愛してるわ」「僕も愛してる」
幾度も交わされる愛の言葉は、不安と空しさと、抗い。

「人生で殺すべきは内なる敵 もう一人の自分 芸術が彼を支配してる 僕らは芸術家?」
神話を解かなければならない。

I KILLED MY MOTHER.

映画を、“人生に対する復讐の手段”と語るドラン。でも、彼の映画にシニカルが影を落とすことはない。この自伝的処女作をもって、そう確信する。
その意味で、ロマンティックな彼の復讐を追い続けたい。


☆4.4

(2016/03/18)