フランス映画において、はぐれ者が行き着く先は海だと相場が決まっている。
浜辺で食堂を始めるために、廃屋を修築中の二人と一人と、もう二人。
妻に裏切られた夫と、母に捨てられた息子、家族に捨てられた老婆に、社会に見捨てられた母娘。
幼くしてすべての“扉”を閉ざされた青年は、困った人を見つけると放っておけず、“我が家”へ迎え入れようとする。
世界中の悲しみを受け止める。それは、“僕の仕事”だから。
母なる海の元へ集う者たちは清らかでピュアで、皆、子どものよう。
そんな落伍者たちを包み込むミシェル・ルグランのノスタルジックな旋律、ロマ出身のトニー・ガトリフの眼差しが優しい。
☆4.7
(2016/03/19)