散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

まともな男

責任逃れの非主体性、その場しのぎの事なかれ主義──自己保身のための“優しい嘘”の、偽善はおろかその加害性をも露わにする、どこまでもアイロニックで冷ややかな視線。事もあろうにそんな嘘がまかり通ってしまう人の世の、カタルシスなき悲劇に救いなし。

一見すると良き父、良き夫。その実、欺瞞に満ちた男の憐れな転落劇。


☆3.8