散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ラ・ポワント・クールト

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映画を見ることでしかやり過ごせない夜があって。そしてついには映画を見ることさえもできない夜になって。ならばせめてBGM(バックグラウンド・ムービー)として、見なくとも点けているだけで心地のいい映画を聞き流そうとなれば、やはりそれはヌーヴェルヴァーグに帰ってくる。あの頃のように。世界一美しい言語による観念的な愛の語らいをわけもわからず、またはわけなどなく響き合う音楽を浴びるように。たとえばモダン・ジャズのような快楽的な破調に揺蕩う一時の安らぎ。自由の世紀の愛の風景(あるいは愛の不毛)に思いを馳せてはやっと穏やかな眠りにつく。