会話劇という演劇性と、映画的な即興性とが結び合うヌーヴェルヴァーグの黄金。パリという劇場を舞台に、恋人たちのフランス語は韻律を奏でるように。街の喧騒を通り抜け、柔らかな陽光を浴びながらその瑞々しくも重層的な悦びにまどろむ。
(そういえば『ビフォア・サンセット』の夕陽もきっとこんな風に美しかった。そう、映画に恋した季節にしばし思いを馳せながら)
追いすがる恋の惨めさ、滑稽さ、愛おしいまでの切なさを一人称に重ねるのだった。
女心と秋の空──なんて言うのは、男が空の広さを知らないだけの戯言だ。
☆3.7