散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

新感染 ファイナル・エクスプレス

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恐怖に怯える者たちの目が、すうっと邪悪に染まる瞬間を映し得る。
その哀れな醜さを眼前にして、怒りすらも通り越した絶望の淵で、一体どれだけの者が人間としての尊厳を失わず、つまり愛を手放さずにいられるかということ。

極限の密室空間に象徴化される人間の本性。その醜さ、愚かさから目を背けない誠実な視点。安易なヒロイズムに陥ることなく、主人公こそが利己的な人間からの成長を果たす物語の普遍性。その正しさと力強さと、希望。利他的な行いが回り回って自らをも利するという、希望の眩しさを描き得る。

堂々のエンターテインメントとして。


☆4.2