散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2022-06-18から1日間の記事一覧

観察者

深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだというあれ。 愚かさを選ぶ自由とその代償について。窃視の欲望に呑み込まれていく女の主人公像に現代性を見ては、男のそれよりも遥かに生々しいサスペンスの行方を悶々とただ傍観するばかり。 言わずもが…

プラットフォーム

『スノーピアサー』を縦にしたような“明らかな”格差社会のメタファーも、その閉塞感に絶望感も段違いのシチュエーションスリラー。自力で這い上がれない階層は、その固定化、つまりは自助を促す新自由主義の搾取構造を如実に表し、その不可能性、近景ではト…

バクラウ 地図から消された村

これまた分断の時代を象徴する映画がブラジルからも。ボルソナロ政権にしてさもありなん。ただし対岸の火事とも言ってられないのは、彼らの告発、抵抗への意志がグローバル社会における先進国の傲慢、その横暴により憎悪と相互不信の極まった近未来像にまで…