散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

プラットフォーム

『スノーピアサー』を縦にしたような“明らかな”格差社会のメタファーも、その閉塞感に絶望感も段違いのシチュエーションスリラー。自力で這い上がれない階層は、その固定化、つまりは自助を促す新自由主義の搾取構造を如実に表し、その不可能性、近景ではトリクルダウンの失敗を思い浮かべもする。と同時に、下には下を、誰かを見下ろすことで安心を得る。常に序列を作りたがろうとする人間の醜さ、あるいは本能的な野蛮をこれでもかとグロテスクに描き出す地獄絵図。夢も希望もない、という“メッセージ”だけが無力にもただ暗闇に消えてゆくのみ。


☆3.4