散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

キッズ・イン・ラブ

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享楽的なペシミスティックが、流行のポップソングに彩られたキラキラ鮮やかなデジタルシネマの深層より浮かび上がる。
かつて、プラスティックな人生を否定して極彩色の世界へと逃走する若者革命があったように、いつの時代も若者たちは将来を憂いながらモラトリアムを享受する。
しかし、今作に描写される彼らの“現実”には、自由を謳歌する姿にも、愛を欲望する姿にも、青春の熱情に浮かされ正気を失う快楽が欠けている。
悲しいかなどこまでも冷静で、関係は無機的で、諦観を前提とするような寂しい視線が行き交い、逆光に照らされる表情は陰となる。

未来が暗いことを知ってしまっている者たちの興ずるゲームに意味なんてものはない。どうせ虚しさしか残らないのならば、はじめから価値を見出すこともない。期待するだけ傷つくのは自分たちだ。ならば。それはもっともな防衛本能だろう。

だけど稀に、そんな防衛線を突破するボーイミーツガールはロンドンの街角に交差する。

恋、焦がれる若者たちのストリートスナップ


☆3.4

(2018/4/10)