散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-18から1日間の記事一覧

忘れられない人

“愛なくば得るものなし” 想いは募るばかり。なのに求めるほど、追いかけるほどそれは失くなってしまうもの。 僕の想う半分でも、君が僕を想ってくれることはない。 ならば守護天使のように。いつもいつまでも君のことを少し遠くから見守っていよう。 この心…

フェリスはある朝突然に

「何をするかでなく何をしないかだ」 人生は短いんだから、つまんない大人の話なんて聞いてる場合じゃない。ほらほら、死んだ顔して授業を受けてたって何にもならないんだから、そんなとこ抜け出して一緒に街へ繰り出そう。 退屈な日常を特別な非日常に変え…

恋する人魚たち

寄せては返す青のグラデーションは色褪せることなく、ドラマティックの住人たちは自由への大海原を泳ぎ続ける。 人魚姫の物語は、叶わぬ恋に傷つきながらも愛を生きる精霊の物語。 恋に恋するウィノナ・ライダーと天才バタフライ少女クリスティナ・リッチの…

サヨナラの代わりに

愛が関係をつくるのではない。信頼に結ばれる関係に愛があるのだ。 最大限の自由意志を認め合う個人と個人の間にしか、本当の信頼は生まれ得ない。つまり本当の愛とは、あなたを私のことのように愛するのではなく、あなたをあなたのままに愛すること。しっか…

デモンズ

赤い座席に座ってスクリーンは見上げる形。タバコの煙や係員の懐中電灯の光が目の前を横切り、上映中でも話し声や怪しい物音がどこからか聞こえてくる。今となっては風情を感じる劇場で、イタリアン・スプラッターを観る映画内映画館体験が思わぬ郷愁を誘う…

僕と世界の方程式

美が真実で。真実が美しいなら。この美しい映画に描かれた愛の芽生えも、また1つ虚構に見出された真実なんだろう。 分からないのに、分かち合うことはできてしまう愛。 “普通”とは違う目で世界を見てみても、どうしても辿り着いてしまう普遍の愛。 「愛し合…

フェノミナ

美少女とグロテスクの点滅に目眩がする。虫が苦手な者にとってはトラウマ必至の地獄絵図に襲われたかと思えば、少女の髪は風になびく神秘的な美しさを放つショットにうっとりと。当然ダリオ・アルジェント節も健在に、超自然的な照明やスタイリッシュな構図…

シャドー

誰のものとも言い得ない不気味な視線。黒の革手袋には刃物。ゴブリンサウンドと悲鳴。鮮血の赤で染まる。 もはや様式美として惨劇が繰り返されるのであるが、なるほど「ジャーロ」とうジャンルは確立され、その代表的な映画作家としてのダリオ・アルジェント…

サスペリア PART2/紅い深淵

またしても“牧歌的なのに寒気のする”歌を手がかりに、主人公は真実という果実を求めて危険な謎に深入りしていく。なるほどデビュー作のセルフリメイクのようなあらすじを辿る、ダリオ・アルジェントの代表作。 やはりカメラワークが映画の主役であることに違…

あなたのために

“黒鳥”に生まれ変わる前の清純派で通るナタリー・ポートマンがチャーミングに、そして少女の成長を見事に演じ分けるスライスオブライフ。 「人は邪悪で愚かな部分がある。でも優しい心もきっと持ってる」だから、生きる価値がある。 女の子の人生は困難の連…

恋に落ちたら…

ジャズピアノの調べに合わせて暗闇に浮かび上がる白抜きの文字。 ROBERT DE NIROUMA THURMANBILL MURRAY “MAD DOG AND GLOLY” ゴシックなフォントのシンプルなタイトルクレジットそれだけでなんだか既にロマンティックが喚起される。そしてライターの火が灯…

グロリア

ジャジーでいなたいサックスプレイをBGMに、空撮より見下ろすはヤンキースタジアム、自由の女神、吊り橋の向こうには二棟の世界貿易センタービルが。80年代は汚れた街ニューヨークをバスやタクシーやサブウェイを乗り継いでは歩き回り、マフィアの追っ手をか…

キッズ・イン・ラブ

享楽的なペシミスティックが、流行のポップソングに彩られたキラキラ鮮やかなデジタルシネマの深層より浮かび上がる。かつて、プラスティックな人生を否定して極彩色の世界へと逃走する若者革命があったように、いつの時代も若者たちは将来を憂いながらモラ…