散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

スプリング・ブレイカーズ

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ロックンロールの敗北から四半世紀あまり。EDMの巨大産業に踊らされる現代の若者たち。21世紀型退廃。その享楽主義はモラトリアムに許された期間限定の現実逃避に過ぎない。資本主義に懐柔され、公権力の監視下で、去勢された不良たちのド派手なバカ騒ぎが虚しさを一層募らせる。
セックスとドラッグと、手のひらに明滅する虚構に酩酊する彼女たちの実存は遠のくばかり。その問いの普遍性さえ今や怪しい。

闘う以前に終わった革命の残像。大義なき反抗は、うたかたの夢の如く。夜明けを待って、多くの者は家路につき、家なきはぐれ者はストリートの闇に消える。
青春の終わりと共に捨て去られる夢だ。

そんな刹那に未だ永遠を夢見続ける時代遅れの反逆児が一人、二人。脱落者をバスに見送り、果てなき逃避行へと向かった彼女たちの歓喜には、あの“テルマ&ルイーズ”だって重なる。


☆3.8

(2018/11/14)