反理性の動物的な権力構造。
その陰に蠢く理不尽な性と暴力。踏みにじられる人権。
独裁、カルトに充満する臭気への嫌悪感と、政治と宗教の両者が結びつくことの恐ろしさが画面を支配する。
放っておけば腐敗していく世界を、私が、今、是正せんとする使命感、やや一面的にせよその愚直な正義感を支持しない道はない。
“邪悪な勢力が勝利するのに必要なことは、善良な男女が何もしないことだけ”だからだ。
事実を基に、大幅な脚色でエンターテインするスリラーであるが故に、映画という媒体それ自体が持つ政治性が際立って見られた。
☆3.8
(2017/09/12)