散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

アメリカン・グラフィティ

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新しい家を手に入れるために、今ある家を捨てなきゃならないなんてことあるのか。
新しい友だちを見つけるために、今いる友だちを捨てなくちゃならないなんてことあるのか。

変わらなければならない節目の時は訪れ、旅立つべきか留まるべきか、人生の岐路に立たされる若者たち。もう子どもじゃない、まだ大人でもないモラトリアムの終わりに。
ある者は晴れ渡る大空に飛び立ち、未知の世界に夢を拓かせる。ある者は同じ道を延々と走り続けることを選ぶ。
並行するそれぞれの人生の分岐点となる、一夜の“グラフィティ”。

町が寝静まる頃、そこは“卒業”を迎えたティーンエイジャーと不良たちの遊び場となる。すべては若気の至りが引き起こす鮮やかな青の思い出は、カーラジオに流れるロックンロールと共に記憶される。
十人十色、互いには知り得ないワンナイト・ロマンス。それぞれの出会いと別れの笑いと涙には、きっと同じあの頃のヒットナンバーが流れている。
同じ時代を同じ故郷で暮らした者が口ずさむ歌がある。

田舎町、地方都市の普遍的な青春群像が、なるほど今なお原典とされる青春映画の金字塔だ。


☆4.0

(2017/3/31)