散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

バルスーズ

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外道を行く“兄弟”の逃避行は、実存をひた走る。

汚れからは目を逸らすようにジャンプカットで先へ先へ、無邪気な逃走が一方への進行方向に導かれるカメラの構図。
逃げ続ければ止まない追手を背に、車を、女を乗り換えるまだ“乳飲み子”たちの遊戯には、野鳥のさえずりや軽快で甘美な極上のヴァイオリン音楽が添えられる。あまりに直接的な性行為のメタファーも、寧ろその幼児性の方が喚起される。
性と生に不感症な彼らの暇つぶしに死の臭いは漂わない。
流れ着いた海のほとりで最後の晩餐を分け合うまでは。愛を知って、口づけを交わすまでは。


☆4.4

(2017/3/29)