散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ラスト、コーション

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その女は、大きな瞳でじっと世界を見つめていた。
確かな真実を。ハリウッド映画に涙を流した。
大きなうねりの中心へと誘われ、やがて飲み込まれてしまっても、心までもを奪われることはなかった。
女は女優だった。虚を演じ続け、果てに実を得た。
いつの日からか恋をしていたはずの男の接吻は幼過ぎた。時は過ぎていた。
女はもう、男を知り、愛を知ってしまっていた。


☆4.0

(2016/03/13)