散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-15から1日間の記事一覧

トレインスポッティング

世界はクソだ。クソなものにはクソだと言い放っていい。そう。頑なに、がんじがらめになっていた潔癖を汚してくれた映画。映画は人を不良にしてくれる。あるべき人生とか、“普通”とかいう幻想に狂わされてしまう前に。 画面のざらつきはまさに90年代。イギー…

アポロンの地獄

映像こそが映画の言語として雄弁であった時代に思いを馳せる。理解を必要としないままに共鳴し得る心象風景。プリミティブな表現をまともにあてられ感受性が揺らぐ、そんな映画が今世紀に存在するだろうか。……ホドロフスキー……最後の映像作家……そんな言葉が…

キングコング:髑髏島の巨神

パニックアドベンチャーから、ホラー、ロマンスまで、全方位的にエンターテインさせる娯楽大作だったピーター・ジャクソン版『キング・コング』。対して、怪獣アクションとベトナム戦争のハイブリッドにオタク趣味を節操なく盛り込む今作は、愛すべきB級ジャ…

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に

文化系男子の体育会系サバイブを、リンクレイター少年はちゃんと“卒業”してきたのだろうな。こうして出揃ったフィルモグラフィーを並べてみると、人生の節目節目を実直に、逞しく、イニシエーションを経た人間の気持ちの良さがあらわれてくる。今作も、カラ…

ヒトラーの忘れもの

美しい青い海と空に囲まれ見渡される大地を、炎と黒煙と血の赤に染める戦争。何度だって繰り返し言わねばならない、戦争に正義はないと。戦争を善と悪で感情移入してしまったとき、その断絶は後世にいつまでも続く遺恨を残す。その溝、囲い、あるいは壁に隔…

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

燦然と輝く星々の歴史の狭間に、人知れず埋もれていく名もなき兵士たちの物語は転がる。舞台は戦場にあり。選ばれざる、持たざる者たちも、それぞれの宿命を背負って戦うことに変わりはない。凡なる戦いへの決意が刻まれる。 SWとは書であると。信じ抜くため…

バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート

「マンガみたいな」ポップでファニーでちょっぴりクレイジーな、ハーレイクイン・ロマンス? 退屈な人生に突拍子もなく現れた“理想のカレ”がまさか伝説の殺し屋だなんて。理想の男がたまたま殺し屋だったのか、殺し屋のような“普通じゃない”人生に憧れていた…

人間の値打ち

人が人の“値打ち”を査定するなど下衆の所業であることは、事実についてを一人一人のストーリーから多角的に紐解いていけば一目瞭然のこと。一つ二つと、真実の顕れによって、本当の人間の価値は浮かび上がる。当然にそれは、資本経済という信仰の引力からは…

デイライト

スタローンという男。往年の筋肉アクションも、彼の場合、血の通った人間ドラマになるのだろうか。失敗もすれば苦悩し、時に諦めもする人間臭いそれでもヒーローは、人命は失われるのだというリアリティーの中で悪あがく。不可能があるからこそ希望に懸け、…