散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

キングコング:髑髏島の巨神

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パニックアドベンチャーから、ホラー、ロマンスまで、全方位的にエンターテインさせる娯楽大作だったピーター・ジャクソン版『キング・コング』。
対して、怪獣アクションとベトナム戦争のハイブリッドにオタク趣味を節操なく盛り込む今作は、愛すべきB級ジャンルムービーといった趣き。
全部サビの曲みたいに、ずっとクライマックスのような画が濃淡なく一本調子に、しかし異常なテンションのまま駆け抜ける奇作はサンプリング時代の極点か、はたまたニュースタンダードだろうか。

愛の幻想は捨て、漢の友情に手を結んだ。
気骨ある純正の怪獣映画だ。

怪獣の実在性は、それだけで死生観および宗教観に広がる論議を内包し、人類に立ちはだかる大自然の神秘性を纏う。
支配の対象か、畏怖をもって共生の道を選ぶか。
人間と神、あるいは神々の対決を描き得てしまう、侮るなかれ、ジャンルムービーの深遠を。

恐れもすれば惹かれもする未知なるものへの冒険心を止ませるな。
すべての人が持ち得たはずの少年少女の心に、咆哮を響かせる。


☆4.2

(2018/2/03)