散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-07から1日間の記事一覧

ドント・ブリーズ

なんにもない、なんにもない、まったくなんにもない暗い宇宙に差し込んだ一条の光。 枷を外し、扉を開く唯一の“鍵”をリュックに詰め込んで、逃げろ、生き延びろ。 “ノット・フェア”な世界と渡り合うためのアンフェア。 ☆4.1 (2017/08/10)

ソーセージ・パーティー

意味や目的なくして生きられない弱き民に、神話によって与えられる“生”。与えられれば奪い合う生(=性)。 アホだなぁ。(そうだよアホだよ) あの世に天国はなく、楽園はこの世にあるよ。 アニメーションという形而上学的高次の映像表現に許された不敬極ま…

ジュラシック・ワールド

『ジュラシック・パーク』が原初的映画体験として記憶に刻まれた所以は、“殺戮”が眼前に繰り広げられる恐怖映画としての一面にあった。 多少、質を量でカバーする粗雑な組み換えは施されつつも、その“遺伝子”が20年後の続編にも受け継がれたことに感慨を覚え…

アンダーワールド ブラッド・ウォーズ

かのラッパーは言いました。アイドルとは、「実力を魅力が凌駕している存在」であると。 根拠は希薄でありながらも、“偶像崇拝”は意思によって維持されるものなのだ。いくら作品のクオリティが落ち続けても、拙さに勝る思い入れによってその差分は補完されて…

さざなみ

‘お嬢さん、僕の心から消えて’ 消えないで。 願えども在り得なかった未来と45年の歳月を経て在る現在が静かに衝突し、さざなみの如き揺らぎはやがて大波となって対岸に打ち寄せる。 ☆3.8 (2017/07/31)

リトルプリンス 星の王子さまと私

「問題は大人になることじゃない。忘れることだ」 “目に見えない大切なこと”を僕たちはどんどん忘れてゆく。大人になんかならないで子どものままでいることを選んだつもりでも、気付きもしないうちに大切なことはどこか遠く、記憶の彼方へ消え去ってゆく。出…

貞子vs伽椰子

最早、国民的人気キャラクターの仲間入りをしてしまった、白日に晒される怨霊さんを怖がれってのも無理な話なので、いっそのこと実体を認めるモンスターと化していただきました。ならば、闘わせてみましょうとなるのが人々の好奇心です。 我らが奇才、白石晃…

SPY/スパイ

007シリーズをはじめとするスパイアクションのダンディズムを逆転させて、女尊男卑の世界観へパロディ化しても巧かったが、男も女もブロンドのあの子も、デブもハゲもイケメンもビッチも等しくいじり倒すポール・フェイグの正しく強かなフェミニズム観によっ…

ロブスター

相性の良さげなパートナーを選び合う行為は、生物が本能的に持ちうる競争原理を勝ち抜くために結ばれる契約関係に過ぎない。結婚という社会制度において、規範に従うべく義務的に愛をしているつもりの欺瞞を嘲笑う。一方で、禁じられようとも抑えきれないロ…

インデペンデンス・デイ:リサージェンス

史上空前の巨大宇宙船の襲来と、極限まで軽量化される人命。皮肉を込めた“コメディ”ではなく、単なる“ギャグ“に大量殺戮が茶化される。前作のセルフパロディにしろ、批評性の欠片すらないコピペのような再構成のなんと薄っぺらなこと。エイリアンも人間まで…

バイオハザード:ザ・ファイナル

矢継早なアクションシーンの繰り返しに、何が何だか。抑揚もなくリズミカルでもなく、無意味に細かく割られるカットにもう目を瞑ってしまいたくなる。 頭を空っぽにして楽しんで……とはまさにこの惨状。能動性を排除するアトラクションに生まれるのは、感動と…

ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間

ピーカーとしては、愛すべきキャラクターたちが転がっていくソープオペラ的メロドラマ展開もキライじゃないものの、この町の創造主たるリンチ当人としては忸怩たる思いもあったようで。 リンチが現場を離れざるを得ず、共同製作であるマーク・フロストの手か…

フリークス・シティ

ゾンビvsヴァンパイアvs人間&エイリアン。暴投をホームランするようなアクロバット。 世相を映し出すロメロ・ゾンビのアプローチを取りつつ、人の死に様までを笑うホラーコメディのテイストに貫徹される青春活劇。ゾンビ、ヴァンパイア、人間の共存社会に見…

シン・ゴジラ

総括と見なすには早過ぎるものの、3.11の絶望により齎された最大の創造は、“希望的観測”に託された虚構であった。我々はもう祈ることしかできないのか。それ故だろうか。“神”がニッポンの都心を焼き払う悪夢に、得も言われぬ恍惚の涙を浮かべた。 ☆4.0 (2017…

巨神兵東京に現わる

「逃げろ、生き延びろ。」 ☆3.7 (2017/7/18)

幸せのレシピ

自分自身が彩り豊かな人生を歩もうとしない者に、人の親になる資格など与えられない。この世界が味わい深いものであることを、その後姿に証明することが親の務めだ。 食べて、歌って、恋をして。できるだけたくさんの、幸せのオリジナルレシピを見せてあげる…

寄生獣 完結編

しかし、それでも、守るべき人と生きていきたい僕たちの残酷。エゴイズム。ごめんよ。 ☆3.4 (2017/7/17)

寄生獣

しかし、それでも、生きねばならぬ僕たちの、“母殺し”の通過儀礼。ごめんよ。 ☆3.8 (2017/7/17)