ピーカーとしては、愛すべきキャラクターたちが転がっていくソープオペラ的メロドラマ展開もキライじゃないものの、この町の創造主たるリンチ当人としては忸怩たる思いもあったようで。
リンチが現場を離れざるを得ず、共同製作であるマーク・フロストの手からも離れてからのシーズン後半の迷走。或いは辻褄合わせに矮小化されていった世界観を蘇らせるべくリンチが再登板した最終回は、やはりリンチなくしてツイン・ピークスなしという確信と、さらなる謎を深まらせて幕を閉じた。
そのままドラマシリーズは打ち切りとなり、見納めとなる劇場版。
ブラウン管を破壊するファーストカットで始まるプリクエルは、なんと25年後に繋がるプロローグでもあったのだ。
25年の時を経て、まさか約束が守られてしまったシーズン3。奇跡的に幸運な体制により復活する純リンチワールド。
全18話に連なる大長編映画と言っても過言ではない、まさに映画監督デヴィッド・リンチの集大成と呼べる『ツイン・ピークス The Return』。
こんな贅沢な“大衆娯楽”は後にも先にも生まれ得ないだろう。
リンチのメディテーションより広がる宇宙に、ただただ身を任せたい。
☆4.0
(2017/7/23)