「問題は大人になることじゃない。忘れることだ」
“目に見えない大切なこと”を僕たちはどんどん忘れてゆく。
大人になんかならないで子どものままでいることを選んだつもりでも、気付きもしないうちに大切なことはどこか遠く、記憶の彼方へ消え去ってゆく。
出会いは別れに向かって進み、思い出は忘れ去られる運命を逃れられない。万物は流転し、留まるものは存在しない。
生も死を避けられないように。
それでも捨て去ってしまうことを拒みたい僕たちは、童心を取り戻すことで大切なことを思い出す。あの頃に見えていた景色、聞こえていた音楽、嘗て“懐いた”友と再び出会い続けることで、なんとか善き大人で在ろうと願うのである。
子どもの頃、読み聞かせてもらったおとぎ話に夢中になったように、大人になった今でも、“物語”が無限に広がる想像の世界へ飛び立たせてくれる。
夢うつつに。無くしたはずの記憶の断片が蘇り、その刹那、タイムスリップしたかのように童心に返っては希望に溢れる鮮やかな世界を知覚する。
キラキラ光るお空の星に、再会の涙が溢れた。
☆4.4
(2017/07/31)
