「所有とは責任」
誰もがモノに囲まれた生活は、それを営んでいることの実践の表れ。
その重荷を一旦下ろさなければ潰れてしまいそうだった。日常をできる限り離れて、不幸について、つまり人生について考えるだけのスペースを確保する必要がきっとあった。だから思考を整理するためにもまず、雑然とした部屋を片付けなければ。物質的価値からの解放、あるいはとことん自由の身になってみなければという自己陶酔的な現実逃避。傍から見れば何とくだらないこと、ムダなこと──だけどムダなことこそ人生の豊かさであるならば、それは僕にとって大切な時間だったのだ。
失恋にはじまった実験ならば、それは新たな恋の成就に終わる。
いつだって人生をリスタートさせるきっかけは、人との出会いにもたらされる。
そして、大切な人との暮らしの中にはモノが溢れてゆくだろう。愛と責任に囲まれて。
☆3.1