怒りに付け込まれるな──。
前作までにすでに乗り越えたはずの内省的なテーマを語り直し、再び新旧の三部作を強く結びつけるシリーズ最終作。『アポカリプス』の華々しいフィナーレと『ローガン』の有終の美に円環をなし終えたストーリーに付け足される(あるいは蛇足的な)エピローグのようなものと言えるか。
マイノリティーへの差別と偏見。その抵抗運動における構造的な対立を、個人的な葛藤に収斂させることに一定の理はあれど、いかんせんそのスケールダウン感は否めず。ダークでシリアスな、それがX-MENらしいとも言えるのだろうが、およそ20年にわたり追いかけてきたシリーズのその大団円を期待してしまっては、肩透かしを食らったような侘しさが残る。
結局のところ、最高傑作『ファースト・ジェネレーション』に明確化された“議論”がその後深まることはなく、闘争は続くとて、その大義や信念はどこか薄らいでいくようでもあった。
マイケル・ファスベンダーにジェームズ・マカヴォイ率いる“ファミリー”との別れを惜しみつつも、物語としてのさらなる深化をMCUへの合流に期待したい。
☆3.9
(2020/12/31)