見せない演出が畏敬なる存在を実現させた前作から打って変わって、冒頭よりその全長を現し、怒涛の怪獣歌舞伎を繰り広げる今作においても、その神秘性は揺るがず。愚かで無力な人間に対する圧倒的な、あるいは神話的な存在として再誕するGODZILLA。
自然を支配の対象とする西洋的な考えとは対立するはずの東洋的な、あるいは土着信仰的な文化へのリスペクトが根底に流れる今シリーズのゴジラ愛。
その愛によって成されたまさしく異文化コミュケーションの産物。分かり合えずとも触れ合おうとする人類の祈りが、芹沢博士(ケン・ワタナベとしてのベストアクト)とゴジラに、人間と神、その共生の思想にスクリーンを通して重なり合うとき、思いがけず溢れる涙。
☆4.2