散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3

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三部作、とはいえ一続きの、まるで一夜の夢のような大冒険がついに幕を下ろす。

目覚めの時──そこに母の姿はなく──それは少年が大人になるための物語の終わり。

大人になるということは、“白紙”の未来を自らの手で切り開いていくということは、あり得べき未来からたった一つの可能性を選び取るということは、それ以外の人生を選ばないという切なさ。選ばれなかった過去への郷愁。
まったくナンセンスで“ヘビー”な選択の数々を、それでも決断していく勇気、それを是とする知恵のことを言う。

そして、その原動力となるものはやはり他でもない愛の力、または稲妻に打たれたかのような恋の衝撃。運命も、“時空連続体”も何も、すべてを破壊して突き進ませるほどのロマンスのときめきだけが「在るべき現在」を超えて「在りたい未来」へのレールを敷き延ばす。

それは、誰かのための人生を卒業し、誰かと共に、自分の人生を歩み始めるための──「Power of Love」。

それは未知なるものへの渇望。


☆4.3