散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ローズマリーの赤ちゃん

f:id:eigaseikatsu:20190125211433p:plain

新婚の夫婦が越してくる高級アパートは、後にジョン・レノンが射殺されたあのダコタ・ハウス。 
妊婦の不安定な精神状態のメタファーであったはずの“悪魔”が、別の意味を持ってその実在性が窺われる頃には、只ならぬ不穏が画面を染み出し、二重三重の恐怖が迫ってくる。
頬がこけて痩せ細った妊婦姿のミア・ファローの怪演からも、映画という虚構に収まらない異常性が感じられて仕方がない。

映画公開の翌年、ポランスキーの妻シャロン・テートチャールズ・マンソンの信奉者らによって刺殺されるという凄惨な事件が起こる。お腹には8か月の赤ちゃんがいた。
虚構が現実の悪魔を呼び寄せてしまったのか。映画の内容と事件の動機とは無関係なものであるが、今となっては、その呪い的な因果に触れず今作を語ることは出来ない。


☆Review

(2016/08/18)