散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

吸血鬼

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ホラーは過ぎるとコメディに反転する。恐怖と笑いはコインの表裏とでも言えよう。
そんな、感情のコインが表か裏か定まらない経過の不穏を、ポランスキー映画は演出する。
しかし、今作は安心して笑っていられる。端からパロディで、ドタバタ。
悲劇に見舞われる以前のポランスキーには、こんな純然たる喜劇作があったのか。

永遠に美しいままの存在となったシャロン・テートの姿には、胸が痛む。美しいほどに。
ポランスキーとの口づけは、虚実入りまじり、時が止まって目に映る。


☆3.5

(2016/03/09)