80's的イノセンスの終焉とともに表舞台を去った青春映画の名手、ジョン・ヒューズ。彼の最後の監督作。
はぐれ者たちの青春を彩ったフィルモグラフィーのラストを飾るのも、やはりはぐれ者の人生に光を当てたロマンチック・コメディー。ただし、スクールカーストなどという一時の悪夢では済まされない、実社会の構成員からはじかれた男の物語に、唯一90年代にはみ出てしまった今作の悲哀が見てとれる。
ある種の幻想が暴かれようとする時代の潮流に対し、荒唐無稽なスラップスティックも、ご都合主義のハッピーエンドもお寒い。どうにもちぐはぐな語り口にあって、それでもジョン・ヒューズ的なる愛のまなざしだけは普遍のチャームを輝かす。
すべての少女たちに幸あれ──と、祝福のラブソングを捧げるエンドロールには万感の思いがこみ上げる。
再び、学園のモラトリアムへと帰っていく少女の笑顔。見送る我ら“ピーターパン”の、夢が思い出とともに永遠を作り上げる刹那のピリオド──。
それは円環構造をなすように、終わらない青春を謳うように、一連のジョン・ヒューズ映画を完結させるにふさわしいラストカットだったように思う。
☆3.6