散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

パージ:アナーキー

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前作を観たのが、ちょうどトランプの大統領就任時。こんな狂った世界最高権力者のもとで、世界はいかにして悪くなっていくのだろうかと憂えてもいたものだが、まさかこんな形で一つのディストピア的風景が実現してしまうとは思ってもみなかった。

コロナで銃が売れるアメリカ。カナダでは史上最悪の銃乱射事件、すでに一部暴徒化の報道が流れるフランス。ここ日本でも、人の消えた夜のゴーストタウンを目撃するに、あれだけ荒唐無稽に見えた「パージ」の世界観がいくらか重なって映るのだから。

現実がフィクションを超えてしまっている、なんて物言いはさすがに自重するとしても、少なくともデジタルの小窓に覗かれる世界の風景は非現実的であると言わざるを得ず、フィクションと、フィクションのような現実と、現実を装ったフェイクが混沌とするタイムラインが加速している。

貧富の差が命の価値をも決める搾取構造。なおも、さらに拡大する格差社会を打破すべく、市民は暴力革命への気運を高める──。
コロナ以前の社会風刺としてはそんなところだが、果たして資本主義の末期症状にパンデミックという劇薬の打たれた現実世界の行く末やいかに。


☆3.0