散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

スカイライン-奪還-

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あるいは黙示録的な、ある種のディストピア的風景が実現されてしまった昨今の、現実が虚構に追いついてしまった非日常において。
世界が変われば、自分も変わる。それはどうしようもなく。現実を通して虚構を見つめる映画体験も当然、まったく同じ感性のままにというわけにはいかないだろう。
すべてはラブストーリーであるか否か、喜劇も悲劇であろうとも、そこに“救い”を見出し、愛や実存やという難題に深刻ぶった思索や言葉遊びを連ねる平時の“娯楽”が、すでに遠い昔のことのようである。

20世紀、戦争の時代に映画はそれと共にあった。
グローバル化、情報化社会のパンデミックの時代、ポストコロナの日常に映画は何を映すのだろうか。そして私は映画を愛し続けられるのだろうか。

突拍子もない超越的な虚構性と、それが作り物であるという、夢と現実を切り離すベストエンディング。本作のような、情熱だけが詰まった空っぽの絵空事に、今はつかの間の癒やしを得るのである。


☆3.3