耳をつんざく爆弾、銃声の雨をかいくぐるように流麗に動き続けるカメラの臨場感は、世界の傍観者を黙示録のカオスへあっという間に放り込む。
あまりに唐突で、性急な悲劇、絶望に見舞われようとも立ち止まることは許されない、息をもつかせぬアンチヒーローの戦いをほんのすぐ傍で目撃する。
ヴァーチャルな体験装置でありながら、それは現実を映し返した鏡像に過ぎない。
エンドタイトルに終わる物語。
スクリーンの向こう側で使命を果たす主人公は、彼であって私ではなく、何ら私自身の人生の意味を保証するものではない。
この他者性の限りにおいて、どこまでカメラがリアリズムに接近しようとも、現実と幻想とを画する映画体験たりえるのだ。
☆Review
(2018/10/14)