散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

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愛の痕跡を拾い集めて。

枯れかかった花に水をやろうとしても手遅れだった。とはいえ、遅かれ早かれ花は枯れるものだ。永遠に咲き誇っているかのような花があればそれは造花だ。一度も花を咲かせることなく萎れていくものだっていくらでもある。
しかし、そもそも花は美しかったのだろうか。美しいという思い込みや願いのようなものが、そう見させるだけの幻想に過ぎなかったとすれば、その美しさに何の意味があっただろうか。

真実は人を欺かない。人が真実を見ないようにしているだけ。欺瞞や虚飾で囲って、外からも見えないようにしているだけだ。
それを、“白痴”はいとも簡単に言い当ててしまう。越えてはならない一線を越えて、言っては耐えられなくなる現実の“絶望的な虚しさ”を明かしてしまう。
幻想は動かざる真実を前に、結局は非力だ。

人は嘘がなければ生きていけない。嘘、つまりは夢や希望、つまりは未来の可能性、つまりは愛の幻想。
だから、真実を追い求める人生は悲劇に他ならない。ただ、その残酷な美は真実であろう。ならば真実など。


☆4.0

(2018/05/12)