散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

フェンス

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強い父の、これは哀れと呼びたい。

夢は見るな。
音楽が生きがいがなんだ、現実を見て、手に職をつけろ。
よそはよそ、うちにはうちのルールがある。
ボスに従え。養ってやってるのは誰だ。
好きで飯を食わせてやってるんじゃない。家族を持つ男の“責任”を果たしているだけだ。
金を稼いで、自立しろ。

差別による不遇の過去があったとして、ならば同じ苦労や悲しみを我が子には経験させまいとするのが親の愛ではないのか。
時代は変わる。人々は変わる。いや、変えねばならない世界を変える大人の一員になることこそ、子を持つことへの“責任”ではないのか。

決して、父のような大人にはならない。

息子は父を殺して大人になる。そのとき、乗り越えるべき父親のでっかさを知る。
自由を奪い、家族を守りもした頑丈な“フェンス”の向こう側で。


☆3.2

(2017/12/16)