全くもって自明であるはずの、人間の愚かしさ、惨たらしさの再現。
為す術なく、儘ならない人の世が反復される。
“光”なきあとの陰に小さくか弱く点滅する残光をも、暴力という深い闇が覆ってしまう不条理。
ことの一部始終をただ冷徹に眺めるフィックスのカメラは、目を背けることを許さなければ、ドラマに昇華することも許そうとはせず、これが現実であることを厭と言うほどに突き付ける。
たった二箇所。“光”が消える世界の記憶と、“光”を取り戻そうと闇をもがき逃れようとする娘との並走。動くカメラに感情は宿される。
☆3.8
(2017/11/29)