散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

父の秘密

f:id:eigaseikatsu:20190212033603p:plain

全くもって自明であるはずの、人間の愚かしさ、惨たらしさの再現。
為す術なく、儘ならない人の世が反復される。

“光”なきあとの陰に小さくか弱く点滅する残光をも、暴力という深い闇が覆ってしまう不条理。
ことの一部始終をただ冷徹に眺めるフィックスのカメラは、目を背けることを許さなければ、ドラマに昇華することも許そうとはせず、これが現実であることを厭と言うほどに突き付ける。

たった二箇所。“光”が消える世界の記憶と、“光”を取り戻そうと闇をもがき逃れようとする娘との並走。動くカメラに感情は宿される。


☆3.8

(2017/11/29)